梅仕事⑨ 紅南高ジャム

紅南高梅- 陽の光を浴びて、果実の表面に鮮やかな紅色が差しているのが特徴。南高梅の中でも1割程度の稀少種です(前回写真参照)。
何年か前に、この紅南高を使って初めて梅干しを作ったときのこと。塩漬けした梅から、真夏に作るトマトジュースのような奇跡の梅酢が上がり、驚嘆しました。皮の一部が紅色とはいえ、大部分は黄色い果肉…到底想像できないことでした。
そして同時に、この梅の実が、目には見えない深部に〈秘めた赤〉を内包しているに違いない、そう直感しました。
私は紅南高が内に宿している強さを、ぜひ引き出して見てみたいと考えるようになりました。翌年、早速試してみたのは、ジャム作り。鍋に実と砂糖を入れて火にかけ、ぶくぶく湧いてくる灰汁を、根気よく丁寧に掬いとって、ようやく現れてくれたのが…この色です。
まるでプロミネンス! 力強く、情熱的な、深く輝くオレンジ色。紅南高という梅は、太陽の寵愛を存分に受けた果実だということ- 間違いないと実感しました。
申し分のない端正な姿かたちより、内に秘めたこのエネルギー溢れる美しい色こそ、私にとって紅南高最大の魅力です。
とっておきの、大好きなジャムです…