お知らせや折々の雑記

甘酒作り

甘酒作り

2022.3.31

喫茶室でお出ししている、甘酒を仕込みました。
近くに住むフサコさん(92歳)のお宅でいただいたお手製の甘酒が、”ほっぺたが落ちるほど”美味しくて、その奥深い、自然の甘さに感激。作り方を教えてほしいとお願いして、大切なレシピを面授していただきました。16年ほど前のことです。
麹菌の好む温度は55~60℃。これより温度が低いと働きが鈍くなり、高すぎると死滅してしまって、奥行きのある甘さが出ません。フサコさんはこの温度を、長年の経験から、勘でしっかり捉えられていました。すごいな、と思いました。
麹菌がご機嫌に働いてくれる環境を作ろうと、私は温度計を片手に、くり返しくり返し甘酒作りに取り組み、データを記録しました。書きためた時間と温度の数字の並びは、家庭科の調理実習帳というよりは、理科の実験ノートさながらです。
教えていただいた分量、温度などの数字は守りながら試行錯誤して、今では保温調理鍋を使って、安定した甘さを引き出せるようになりました。
もち米、麹、おいしい水-よその土地のものを使わず、自分たちが暮らす安曇野産の材料のみで作ることができるというのも、よいですね。

花眼

花眼

2022.3.18

最近、小さな文字が、めっきり読みにくくなりました。針に糸がなかなか通せなかったり、指に刺さったトゲを抜くのに難儀したり…老眼です。
加齢による視力の衰えを嘆いていますが、ふと、以前本で読んだ「花眼」という言葉を思い出しました。
中国語で、老眼のことを花眼(ホワイェン)というそうです。
花が美しく見えるためには、あまり細かいところが見えるのではなく、全体がよく見えないといけない。花全体の美しさを味わえるようになることが、老眼なのだと…
老いて細部が見えなくなってしまった眼ではなく、歳を重ねて、物事全体がよく見えるようになった眼。
加齢を前向きに、心豊かにしてくれる、素敵な言葉、捉え方だと思いました。

ウクライナ民話『てぶくろ』

ウクライナ民話『てぶくろ』

2022.3.7

数年前、友人がプレゼントしてくれた、絵本の名作『てぶくろ』。
落とし物の手袋に「わたしもいれて」「ぼくもいれて」と動物たちが次々にやってきて、手袋の中で一緒に過ごす、素敵な物語です。
寒い国の、雪深い森の中でのお話ですが、くり返される「いれて」「どうぞ」のやりとりがやさしく、思いやりに満ちていて、あたたかな読後感に包まれます。みんなで仲良くすること、分かち合うこと、共存共生は楽しいよ…そんなメッセージも伝わってきます。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって以降、この絵本に多くの人々が心を寄せていること、平和について思いをはせるきっかけになっていることを、先日テレビのニュースで知りました。
1日も早く戦火が収まりますように。ウクライナに平穏な日々が戻りますように。ただただ祈るのみです。

福寿草

福寿草

2022.3.3

日頃通っている光城山に、福寿草の群生地があります。
大寒の頃、いくつもの蕾が顔を出し、立春には小さな花が開き始めていましたが、その後降雪が続き、深い雪の下でずっと眠りについていました。
ようやく雪も解けて、今、花の見頃を迎えています。
福を呼び、心が寿ぐ花。春を告げる花。
輝く黄色い花びらは、太陽の光を花の中心部に集め、温度を上げて虫たちを誘います。寒い季節、昆虫たちにとって暖かな福寿草の花は、まるでサンルームのように居心地のよいことでしょう。
この太陽光を集める福寿草の花の原理は、電波を集めるパラボラアンテナの原理と、まったく同じです。
一見、簡明に見える植物のかたちですが、そこには驚くべき精巧なしくみがあって、本当に見事なものだと感嘆します。植物は、名デザイナーですね。

しーちゃん

しーちゃん

2022.2.22

お客様とお話していると、窓の外にシジュウカラがやって来ました。
「あ、しーちゃん…」何気なく声に出すと、それを聞いたお客様がびっくりされたように「野鳥1羽1羽に、名前をつけているのですか?!」と真顔で尋ねてこられました。「それはさすがに難しいですね~」とお答えし、わが家にやってくるシジュウカラは、”すべてしーちゃん ” なのだと説明しました。
以前、なついて餌をねだるヤマガラたちがかわいらしくて、個体の識別を試みたことがありました。大きいか小さいか、スレンダーか丸々しているか、わずかな体型の差から違いが分かるだけで、色や模様の特徴を見分けて個体を特定することは、困難なことでした。(もし見分け方のポイントがあるのなら、知りたいところです…)
餌台にひょっこり現れた小さなしーちゃん。私たちの心を、しばし和ませてくれました。

わさびの花

わさびの花

2022.2.11

凍てつく寒さの中、市内のわさび田ではわさびの花が咲き始めました。
つつましく、清楚な姿の中にも、凛とした佇まいを感じさせる、小さな白い花です。
農園での花の見頃は、3~4月ともう少し先ですが、やわらかい食用の花芽が手に入るのは、ちょうど今ごろから。旬の短い花芽のおひたしは、安曇野の ”早春の味覚” として、親しまれています。
わさびの辛さは揮発性。ツーンと鼻に抜けるあの辛味をいかに引き出し、逃さないようにするか。さまざまな作り方があるようですが-
3cmほどに切ったわさびの花・茎を塩揉みして砂糖を加え、ひたひたに90℃位の湯を注ぎます。この時、厚手の鍋を使うなどして温度の低下を緩やかにします。蓋をして密閉し、8時間ほど置いて出来上がり。
安定した辛さがしっかり出て、簡単です。
馴染みのわさび店で、教えていただきました。